「終身雇用崩壊」、「経済格差の拡大」といったニュースが、テレビ、ネットで多くとり上げられるようになりました。そして、自分は本当にこのままの状態で、老後まで不自由なく過ごせるのかといったことを考えなおす機会が増えたと思います。将来に備えるために、収入を増やしたい。最近、転職や副業をして、収入を増やそうと聞くが、何をすればいいのかわからない。
このように、収入を上げるために一歩踏み出したいが、どうしたらいいかわからない方に、おすすめなのが、
『転職と副業のかけ算』moto
著者のmotoさんは、短大卒業後、年収240万円のホームセンター正社員から、4度の転職をへて、5000万円まで収入を上げることに成功しています。
その実体験をもとに書かれているので、考え方やノウハウが具体的でわかりやすく、非常に参考になりました。
この本を内容を理解することで、収入を増やしたいけどどうすればいいのかわからないといった漠然とした状態から、大まかな道筋が見えるようになると思い、今回は書評として紹介させていただこうと思います。
・転職をすでに考え始めている方
・サラリーマンの副業について知りたい方
『転職と副業のかけ算』概要
著者 :moto(Twitter:@moto_recruit)
出版社 :扶桑社
出版年月日:2019年8月9日
価格 :1540円
ページ数 :239p
著者 motoさんは長野県生まれ、地方ホームセンターの正社員から、リクルート等を経て、広告ベンチャー営業部長まで成り上がって、大きく年収を上げらています。その中で培ったキャリアや営業戦略に関する知見をSNSなどで発信し、サラリーマンから多くの支持を集めている現役のサラリーマンです(本書出版時、Twitterフォロワー数10万人突破)。
定年までサラリーマンとして勤め上げ、コツコツ年収を上げるしかないと凝り固まった考えしかなかった私にとっては、本書で書かれている「転職と副業のかけ算」の成功談は衝撃でした。
転職前でもできる!キャリア(仕事)に対する根本的な考え方について考え直す
まずはキャリアに対する根本的な考え方についてです!そもそも、収入アップさせる(=転職・副業で成功する)には、それに見合った人材にならなければなりません。
〇転職なら
⇒応募企業から高い評価を受けなければ、年収upになる転職につながらない。
〇副業なら
⇒仕事の依頼主から高い評価を受けなければ、いい仕事を受けることができない。
それでは収入アップにつながる考え方とはなんでしょうか。本書では、「市場価値を意識して働く」という考え方が最重要だと書かれています。
ここでいう、市場価値を上げるとは、資格をとるなどではなく、「自分の生産性を高めること」を意味しています。
例えば、転職時に評価されるものはなんでしょうか。社内の肩書き?社内評価?、評価する側の気持ちを考えると、違うことは想像できますよね。
その人が評価する企業で役に立つか、つまり生産性を発揮して、成果を上げられるかを見るはずです。そう考えると、本書にも書かれていますが、市場価値(=生産性)を上げることが重要なのは納得です。
収入を上げる転職術
本書の目玉とも言える転職術についてです。収入を上げる転職方法、それは「軸ずらし転職」です。
「軸ずらし転職」とは、年収の高い業界や職種に軸をずらす転職方法のことです。年収は「業界規模×職種」によって、大枠決まっています。
実は年収というのは、「職種×業界」で大枠が決まっています。役職(役員、部長、課長、リーダーなど)や、企業ランクと企業属性(外資系、日系大手、中小、ベンチャーなど)も関わってきますが、大きな要素は「職種×業界」にあります。
著者の例でいうと、
1社目 小売業界 小売営業+人材採用の経験
⇒2社目 人材業界 人材営業+役職経験
⇒3社目 人材業界 人材営業+上位の役職経験
⇒4社目 IT業界 IT営業+上位の役職経験
⇒5社目 広告業界 営業+上位の役職
指摘されれば、確かに!と思いますが、今までこのような考え方はなかったです。企業をとして、利益が出ている。
だからこそ、人材などに投資できる。したがって、働く社員は年収が高くなるということですね。
私自身、良い転職(ステップアップの転職)するにはどうすればいいのだろう思っていましたが、軸ずらし転職は実際に転職する際に取り入れるべき考え方だと思いました。
他にも、本書では転職エージェントの選定基準、戦略的職務経歴書の書き方など、具体的なHOWが記載されており、とても参考になりました。
サラリーマンの副業
副業に関しては、会社にばれるリスクに対して、そんなに大きなリターン(=収入)があるのか?と思う方もいるかもしれません。
しかし、本書を読んで、サラリーマンこそ副業するメリットがあると思いました。
〇副業のメリット
①自分を売り出す「個のブランド化」
②収入チャンネルの増加による経済基盤の確保
③本業における「市場価値向上」への寄与
会社勤めになれるとつい忘れがちですが、サラリーマンは会社のブランド(=看板)を使うことで仕事が成り立っています。
私自身、新入社員で電話応対など不慣れなときでも、ある程度社外の人に丁寧に応対していただけるのは、会社の看板があるからだからだと痛感した経験があります。
そういった経験もあり、個人のブランド化ということは、年収アップをする仕事をするうえで、必須と感じました。
個人ブランドが確立されている状態とは、強い信頼がある状態とも言えます。そういった方に、いい仕事(報酬が高い)が集まるのではないかと思います。
また、現在では、紛争、パンデミックなど様々理由で、市場の大きな変化点に耐えきれず会社が倒産することなどが、現実的な事態です。
本業の収入だけではなく、複数の収入チャンネルをもっていることで、経済的、精神的にも暗視できるのではないでしょうか。
そして、副業にチャレンジをして結果を出せば、自分の市場価値を大きく上げられる。その成果や経験を本業にいかせば、さらに市場価値が上がります。
このように、副業と本業のいい循環をうみだせば、収入をあげられ、また自信がつけれると思いました。
逆に言えば、チャレンジをしなければ、大きな成長機会を得るのが難しいと思います。
副業へのチャレンジで市場価値をあげるサイクルをつくれる。これが副業の最大のメリットだと思いました。
生涯年収を最大化する生き方
会社に依存するのではなく、会社で得られる機会を利用して自分の価値を伸ばし、転職や副業を通じて、社会に対する提供価値を最大化することが必要です。
著者motoさんは、サラリーマンという仕事を問題視していません。会社あるいはブログ等の副業だけに依存している生き方を問題としております。収入源がひとつだけだと、勤め先、市場環境によって、自分の収入が途切れてしまいかねません。複数の収入源をもちリスクを分散する必要がありますし、本業での成果に転職と副業をかけ算することで収入を最大化する働き方をおすすめしております。
実際に、著者:motoさんは本業の成果に、転職をかけ合わせて年収をあげ、転職を繰り返した経験に副業(ブログ)をかけ算することで数千万円の年収を勝ち取っています。
本書は、今回紹介した内容以外にも、キャリアに関する考え方等が凝縮された一冊となっております。
将来のため、収入をあげなくては!と思っている方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
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